SSブログ

日本のフェリーの等級のあり方に疑問 [交通]

日本のカーフェリーの等級の中で、カーペット敷きの二等は厚遇されすぎている。
空いていれば中途半端な二等寝台(二等指定と呼ばれることも)より快適だし、窓がないことも珍しい。世界的には個室(キャビン)以外の一般船室は二段ベッドがずらっと並ぶ兵営のようなものか、椅子席(ギリシャ航路なら最低クラスは屋外のデッキ席)であって、窓のない内側か水面ギリギリがせいぜいだ。
床面積あたりの定員で見れば、二段ベッドの二等寝台か、個室の一等よりも、二等の方がゆったりしていることも珍しくない。

日本でも、戦前の青函連絡船の三等(今の二等)は車両デッキより下の船底に奴隷船のような二段の蚕棚(畳敷きだが背が立たない高さ)で、事故があればまず助からない船室だった。それが船旅というものだ。
本当に金のない底辺の出稼ぎ労働者以外は、特に家族連れは
「汽車は三等で十分だけだが、連絡船だけは最低一つは等級を上げろ」
「船は等級が全てだ。払えるだけ高い所に乗れ」
(実際には当時の社会は今とは比べものにならない階級社会だったし、女中・ボーイなどに一張羅の貧乏人と見くびられれば悲惨な差別待遇を受けた)
と言われていた。
その名残は1970年代まであったように思うが、今はない。
もちろん奴隷船仕様に問題があるが、外側の窓まで二等に要るだろうか。外を見たければデッキに出ればいい。
船室から優雅に外の風景を見たいなんて、適切な運賃の代価によってのみ認められるべきだ。

だいたい日本のフェリーは最高クラスの特等か、場合によってはそれ以上の特別室・スイートまで行かないと、二等以上の快適性を得られないことが多い。
特等の一つ下の一等でも、4人部屋か6人部屋の二段ベッドでは貧乏くさいし、一人客や二人の夫婦客などには向いていない。そもそも法外な貸し切り料金を取られることもある。
高速道路整備も進まず、航空路や鉄道も不便な時代に、普通の家族客から人数分一等運賃をぼったくることが出来ていた昔の思いが年配の船会社の人間から抜けないのだ。
一等で一人部屋や二人部屋を持つ船も多いが、窓もない内側部屋ばかりだ。そういう配置の船に限って、二等は無駄に外側に配置されているのだ。
しかもどんな高い部屋に乗っていても、普通のフェリーは下船時は雑踏の中で待たなくてはならない。
国際線の飛行機だったら、特等はファーストクラスだし、一等がビジネスクラスだ。ファースト客が荷物をまとめるのに手間取っても、数分くらい下のクラスの客を待たせるのは業界で当たり前だ。
日本のフェリーで特等客が優先で下船できるのは、徒歩客が皆無に近いオーシャン東九フェリーくらいだ。
これでは二等が満室でもない限り、普通の乗客は上の等級にする意欲など沸かない。

採算を取ろうと思えば、以下の愚策しか採ることができず、顧客ばなれにつながっている。
まずは高速道路をひたすら走るのに比べて高すぎると思えるほど車両料金を割高に設定することだ。高速値下げ対策で瀬戸内海航路はどこも車両運賃を値下げしているが、これが適正価格だ。車両運賃の限度は、高速道路料金+ガソリン代+ビジネスホテル代4000円+運転の労苦3000円(これは個人差あり)くらいであろう。
次の対策は関西汽船・ダイヤモンドフェリーのように二等を大幅に値上げするしかない。だが、大分・別府航路の近年の衰退の原因の一つは、運賃を値上げしすぎて、大分に直行する以外の北九州一円の徒歩客、団体客を、距離がより長いのに二等6000円(学割4800円)と安い新門司航路二社に取られたことにある。賢明な策とは言えない。
後は一人のマニア客から貸し切り料金を搾取することだ。相部屋承諾を許さなかったり、空いているのに相部屋にしたり、一人部屋、二人部屋を少ししか作らないことだ。
nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(1) 
共通テーマ:旅行

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。