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東急グループとスキー場、西武との比較 [スキー]

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閑話休題
東急グループはどうしてスキー場経営の事実をことさらに隠そうとするのだろうか。
衰退事業を持っているということで、投資家から悪い印象を持たれたくないからとさえ思える。
一般に地元への配慮で黒子に徹すると言われるが、もはやそれでは解せないレベルである。ニセコにしろ白馬にしろ地元の運営会社が整理された際、わざわざ引き取って索道の経営統合を進めているのだから、侵略者として地元に嫌われているとは全く思えない。
苗場や雫石、志賀高原の焼額が西武=コクド=プリンスホテルなのは一目瞭然だが、東急は各スキー場の運営会社名もわかりにくい。一応、電鉄直営の別格の存在たる八方尾根・栂池・岩岳を例外として、東急リゾートサービスにスキー場の経営はほぼ一元化されている。なお、白馬の特別の扱いは、五島昇が白馬のスキー事業に格別の思いいれを持っていた名残が大きいらしい。
しかしながらスキー場名にも運営会社名(鉄道要覧の索道欄を見れば一目瞭然)にも「東急」のブランドを出さないのはほぼ徹底している。ニセコグランヒラフもタングラムもスキージャム勝山もなかなか東急系だと分からない。戸隠や富士見パノラマにも東急の息がかかっているとは知らなかった。
おまけに東急不動産系で共通リフト券があったりもしない。せいぜいシーズン券購入者に相互に優待があるくらいである。
不動産系の東急リゾートサービスが日本の大企業で唯一、スキー事業に本気を入れていることは確かである。その姿勢は社員として普通の企業で唯一、ワールドカップクラスのアルペンスキー選手(大越龍之介)を正社員として採用していることで明らかだ。建前としてのアマチュアスポーツ選手としての枠でも、ANAの福原愛や北島康介のような使い捨ての広告塔でなく、終身雇用の正社員としての採用することはスキー界にとって重要なことだ。
電鉄系の会社が正社員としてアルペンスキーの選手を採用するのは、60年前の長野電鉄スキー部の杉山進以来の椿事である。ナショナルチームの合宿や遠征の日程を思えば、常識的に言って現役時代は正社員としての勤務が出来るとは思えない。SAJ会長の堤義明でも遂にスキー部をコクドやプリンスホテルに作ることはなかった。アイスホッケーや野球と異なり、正社員として勤務することが難しいと考えたからだろう。
その代わりに、堤は個人的にアルペンのトップ選手の岡部哲也や木村公宣に対して生涯生活の面倒を見るとの確約をし(その事実はスキージャーナルなどでの引退後のインタビューに窺われる)、軽井沢プリンスホテルスキー場と富良野スキー場のスキースクールの権益を二人に与えた。
基礎スキーの世界にまで視野を広げれば、柏木親子(正義・義之)に苗場スキー場でのスクール経営を任せている。技術選で柏木に匹敵する立場を考えると、昨年一位の丸山貴雄は東急直営色が強い八方尾根スキースクールの看板であり、二位の吉岡大輔は東急のたんばらのスキースクール代表(チームクレブ所属というのは、実質は後援程度であろう)である。実は技術選における柏木義之と丸山、吉岡(ばんけいスキー場の井山敬介は関係ないが)は、西武グループと東急グループの代理戦争としての性格を結果的(関係者が意識しているかは定かではないが)に有している。

さて、東急グループは五島昇の死後、元の各社の番頭たちとその後継者たちがてんでバラバラに経営していると言われ、ホテル部門においても、東急ホテルズと東急ステイとハーヴェストクラブなどとの相互の連携、顧客の相互優遇は存在しない。
かつては海外ホテル部門としてシンガポールに本拠を置くパンパシフィックホテルチェーンを持っていたが、今はなき慶州やグアムの東急ホテル(1970年代にはソウル東急ホテルもあったが、短命に終わった事情は不明である)がそこに統合されることもなかった。謎だらけである。

こういうことを考えていたところで、昨年11月1日に白馬観光開発の売却が発表さた。長野県としては蜂の巣をつついたような大騒ぎだったようだ。ただし白馬東急ホテルは日本を代表する高級スキーリゾートホテル(同レベルの設備・格のホテルは奥志賀高原ホテル、グランフェニックス、赤倉観光ホテル、トマムのかつてのガレリアスイート、セゾン時代の狩勝コンチネンタルホテルくらいか)として切り離されることはなく、盤石の体制のようである。スキー場は儲からなくても通年のリゾート経営は成立するのだろう。

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