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(4月1日)関西電力出資で北陸新幹線小浜ルートがルート決定、着工へ  [鉄道]

前田武志国土交通大臣は4月1日、新スキームでの北陸新幹線の全線着工計画を発表した。整備新幹線の新規着工決定は昨年の金沢・敦賀間に次ぐものとなった。ルートは小浜・亀岡を経由して新大阪に直結する小浜ルート案に決定しつつも、米原ルートも放棄されることはなく、ほどなく建設される計画である。

以前から北陸新幹線の敦賀以南のルートは米原ルート、湖西ルート(含む湖西線フリーゲージトレイン案)、若狭ルート案の三案に分かれ、整備新幹線の中で唯一、ルートが決まっていなかった。東海道新幹線のバイパスとしては若狭案が最も優れ、地域開発に貢献する度合いも大きいが、新線の距離の長さに伴う建設費の大きさが、北陸から中京東海地域へのアクセスに難がある点と並んで課題となっていた。
前田大臣の前任の大畠大臣は東日本大震災の教訓として、大震災発生時の国土の代替バイパスルートの建設促進を表明し、旧建設省技官出身の前田氏もその方針を踏襲する模様だ。東南海・南海地震発生時に従来の東海道新幹線は使用不可能となることは明白であり、北陸新幹線のルート選択においても、当該地震の影響の大きい米原ルートは回避された模様だ。

今回のスキームの最大のポイントが、沿線に原発を保有する電力会社が建設費の過半の5000億円を支出し、当該区間の線路を並行在来線と共に保有する第三セクターの大株主となる点にある。議決権を持つ普通株と持たない優先株、転換社債の比率については、今後の検討課題とした。
関西電力の出資分が最も多く3000億円、中部電力が1000億円、北陸電力と電源開発が500億円ずつを支出する計画だ。現在、関西電力は原発の再稼働を行なわない場合、火力発電の燃料費で年間約2000億円の追加支出を余儀なくされているが、大きな負担となっている。今回の資金を支出しても、原発を動かせない場合のコストに比べれば安いものなのだ。
鉄道アナリストの川島令三氏はこう指摘する。
「以前から関西電力は福井県に対して原発立地の見返りとして、小浜線の電化や県内の老朽化した交直流車両の代替車両の費用を負担するなどことをしてきました。今回の決定には驚きません。」
福井県内の原発再稼働の条件として福井県・滋賀県・京都府知事と綿密が打ち合わせが行なわれた結果と見られる。
関西電力の原発再稼働に反対してきた大阪維新の会は今回の決定を歓迎する構えだ。松井一郎大阪府知事はこう語る。
「従来、北陸地方は東京より関西と大きな地域的つながりを持ってきたが、東京一極集中の影響で、そのつながりは細ってしまっている。再来年度に北陸新幹線が金沢まで通じれば、金沢からの東京と大阪の時間距離が同じ二時間半になってしまう。大阪の地位低下は進む。」

政界事情通の間では、今回の決定を民主自民の大連立の動きの一貫と見る。
「福井県は前回の総選挙で高知県と並んで唯一、小選挙区で自民党が全勝した県です。そこに何とかして民主党も食い込みたい。その動きは昨年の敦賀着工決定にも見られましたが、今回で露骨になりました。今回のルートの沿線には、京都北部の自民党の谷垣総裁の選挙区も含まれますし、京都市を地盤とする民主党の前原政調会長との間で何らかの意見に一致が得られたのでしょう。」

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