SSブログ

乗用車の本木目ステアリングと内装 国内仕様を格下げするトヨタの性根について [自動車]

乗用車である程度高級な車種、グレードになると革張りシートになったり、ウレタンではない本革巻ステアリングになったりして、木目調のパネルもカローラクラスから登場する。
だが、本木目すなわち本物の木材を内装のパネルやステアリングに使った車は国産車ではそれほど多くない。外車だとアメ車の高級車(キャデラック、リンカーンブランド全て)はそうだし、ベンツでもEクラスあたりは最低グレードでも付いている(Sクラスなら当たり前)のと対照的である。
衝突安全性の観点からすると、事故で木の破片が搭乗者に当たる可能性があるので、本木目の使用が減ったとの「業界通」の解説なども見るが、安全性第一のベンツが採用を続けているのだから、単にコストの問題だろう。
木目が大好きなトヨタや日産のセダンだが、クラウンも現行フーガもティアナも全てのグレード(最上位のハイブリッドを含む)で木目調パネル、木目調ステアリングである。つまりプラスチックに木目の模様を印刷しただけの代物だ。先代フーガにはハイブリッドの代わりにインフィニティーM45の国内バージョンのV8バージョンがあり、それのみに本木目が使用されていたが、モデルチェンジで廃止された。日産はレパードやローレルクラスでも昔は本木目があったのに退化したものである。スカイラインセダンの一部の仕様に採用されているのが奇跡的である。まあインフィニティーG37のおこぼれだから、作り分けるのも面倒なのだろう。
トヨタはかつて国内専用車でも無駄にコストをかけたプログレに本木目があったが、今はレクサス車とマジェスタ、センチュリーだけだ。
先代のランドクルーザー100系とプラドの最上位グレード(シグナスとGセレクション)は輸出版のレクサス仕様(LX470とGX470)に準じた内容で、エアサスや本木目ステアリング、パネルをおごっていたが、モデルチェンジで国内バージョンのコスト削減ばかり進んでいるようだ。
海外仕様で手は抜いていないだろうから、レクサスの差別化のために国内を馬鹿にしていることが丸わかりだ。レクサス全てやカムリ、FJクルーザーなど、それでいて国内仕様は北米より割高だ。
いつかトヨタの下請けで本木目のステアリングを作っている会社の取材記事が見たことがあるが、ほとんど輸出車にしか使われないことを嘆く内容だった。
結局のところ国内のユーザーを馬鹿にして、利益源の海外に奉仕するメーカーの姿勢が象徴的に現れている。あれだけインテリアで売っているティアナも木目調である。だがスカイラインあたりの本木目と比較すれば、カタログ写真レベルで安物であることが丸わかりである。
クラウンはトヨタの良心とも言うが、それは世界で戦うカローラやランドクルーザー、旧セルシオに比べれば、程度の低いものである。奥田は
「クラウンの大抵のユーザーは5年で乗り換えるから、その程度もてばいい」
と言っていたが、ランドクルーザーやカローラの場合だと、死んでも同じ台詞を言えないだろう。耐久性、信頼性は中東の砂漠やアフリカの奥地などでは生命に関わる問題だからだ。クラウンで喜んでいる田舎の小父さんに本木目と木目調の違いは分からないとたかをくくっているのだ。
レクサスでも、必ずしも全てのグレードで本木目ステアリングやパネルを使っているわけではないが、クラウンロイヤルの上級グレードのように偽物を貼っているわけではない。レクサスだと、トヨタもさすがにインチキはしない。
トヨタブランドのセダンでは、マジェスタやセンチュリーまで行かないと本木目には出会えない。 レクサスに移行しない質実な国内の旧来のユーザーだましである。

頑張っているのはホンダと三菱である。ホンダは高級家具メーカーの天童木工と関係があり、バブル期はレジェンドやインスパイアに本木目を使っていた。現行レジェンドも登場当時から本木目パネルのオプションがあり、最近のマイナーチェンジで標準化された。
もっと驚くのが三菱の本木目ステアリングである。軽自動車とSUV、ランエボ以外は車種廃止に踏み切った観のある三菱のラインナップだが、パジェロとデリカ(今はD5のことだが、スペースギアの時代からそうだ)の最上位グレード(スーパーエクシードとシャモニー)には何と一貫して本木目・本革巻きステアリングが採用されている。
パジェロやデリカを買うのに、内装の本気度を基準にする人がいるとは思えないが、謎とも言える三菱の誠実さである。あるいは本木目パネル、ステアリングを製造する専門の部品会社と縁を切りたくないという免許維持路線的な意味があるのかもしれない。

旧型パジェロのエクシードⅡを運転していて、木目調のプラスチックとは思えない(プラスチックの安物の漆器と本物の感触の違いだ)ステアリングの熱伝導率などに疑問をもって調べてみたら、驚愕の事実が発覚した次第だ。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。