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成功する日本国内空港の条件 [空港]

(再録記事)
日本で航空研究というと、交通経済学の悪弊で数字だけの空疎で陳腐な議論になるか、マニアのどうでもいい知識(747-400Dと747-300をどう見分けるか?MD81と82と83と88の違いは?とかといった話です。そこそこ上級の話題ですが)の披瀝になってしまって、その中間がないのが問題だと思っているので、こういうことを論じたいのです。
鉄道研究ほどひどくはないけど、日本国内のことしか知らない輩が多いのも問題です。A340とかB757がどれだけ世界でメジャーかを知らなかったりする類です。雑誌「エアライン」なんかは「鉄道ファン」「鉄道ジャーナル」より遥かに海外記事で頑張っているとは思います、。 それでもJAL、ANAの話題ばかりなのは否めません。「世界のエアライン」もけっきょく長続きしなかった。
以下で論じたのは、個別の空港論の一般化の試みである。

国際空港が利用されるか、活用されるかというのは、都市の集積効果と同じと考える。
何となく便数が増えて便利になれば利用も増えるし、利用が増えるから便数が増えて便利になるという好循環に入ればいいんですが、逆のサイクルに入ってしまうと、とことん駄目になってしまいます。

代表的な衰退の例を挙げると日本では福岡、熊本、鹿児島など初期にジェット化して国際線が就航した空港でしょう。
昔は福岡空港から北京経由のAFのパリ行きがあったり、BAのロンドン直行が飛んでいたり、ハワイアン航空の唯一の長距離路線のホノルル行きが設定されたり、DLがアトランタからトライスターで飛んできたりしたのですが(さすがに全部そろっていた時期はありませんが)、新国際線ターミナルができたら、家賃が高いとか何とかの理由で途端に東アジアの地域空港になってしまいました。
SQ(とうぜんシンガポール直行)の広島とか仙台便(A310で何とファーストクラス付の3クラスだった。ファーストクラスにマニア以外の利用はあったのだろうか?)なんてそこそこ長く運航されていたのに、結局定着しなかった。地方空港の国際線は週5便以上運航されると、かなり便利でエコノミーはけっこう利用されるんですが、利益率の高いビジネスクラスの利用が少ないというのが痛い点です。業務出張は意外と地元企業が海外に進出していたりして、想像以上にあるものですが、そのクラスの地元企業の場合は社長でもビジネスクラスなんてご法度という所が多い(トヨタなど大企業は、平社員でも5時間以上の飛行だとビジネスクラスだったりみたいですが)。

逆に好サイクルに入って大成功したのが、1980年代後半以降の名古屋空港です。
国際線の急激な成長は、中部国際空港がもうすぐできるのが分かっているのに、5年しか使わない巨大な新国際線ターミナルを作ったりせざるをえないほどでした。
(本当は1988年に国内線ターミナルを立て替えたのも無駄だと思う。)
旧名古屋空港なんて本当は国際空港としての昔の格は福岡・鹿児島あたりよりずっと下で、1980年代までは滑走路の耐荷重の関係で2200mくらいしか実質的に使えなかったんですが、関空ができる前の直前に何としても日本に乗り入れの実績を作って将来は関空と成田に乗り入れたOR増便したいという外国航空(デルタ航空とかヴァリグブラジル航空とかが良く挙げられます)がワンサカ就航するようになり、名古屋経済の成長によって需要もそこそこ付いて、日本第三位の国際空港としての地位を確かにしました。旧名古屋空港時代にこれだけの蓄積があったから中部国際空港がそれなりの成功を遂げたのです。
とはいえ、KLMやヴァリグ、JALの欧米線あたりが撤退して欧州はLHのみ、アメリカ本土はNWのデトロイト線とACのみという辛い状況で中部国際空港開業を迎えることになったという厳しい現実も忘れてはなりません。今のところもUAのサンフランシスコ線が撤退するかどうかが長距離路線を以後も維持できるかという試金石と見ています。これがなくなったら、けっきょく利用者(除くトヨタ海外部門)も、中部国際空港はアジアの一地方空港にすぎないと受け取られて、中国路線以外は前述の悪循環に入って、衰退しそうに思います。

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