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ミシュラン赤ガイドの意義 [海外事情]

(2007年12月に書いた記事です)
ようやく昨日、売り切れ続出だったミシュラン東京の第二刷を購入できた。意外と近所の小さな本屋にたくさん入荷していた。

すでに掲載店舗の話はさんざん出ているので、本としての体裁の話を中心に。
(ただ、超高級店の情報は少ないので、なだ万山茶花荘や福田家、あら皮といった店の正確な値段が出ているのは、別世界のことながら、参考になる。)
http://www.newotani.co.jp/tokyo/restaurant/nadaman_sazanka/index.html
http://rp.gnavi.co.jp/ns/5318426/
何もネットには、場所と建築以外の情報がない。
http://r.tabelog.com/tokyo/rstdtlrvw/13002897/
ぼったくりバー並の恐ろしい値段は踊る。
(こう考えると、トゥールダルジャン辺りって意外とリーズナブルだと納得。あるいは一泊5万円クラスの旅館とか)
ご存じのようにフランス語(実は英語版も相当の部数が出ているが)版は無愛想な実用一辺倒の辞書みたいな本で、二色印刷でひたすら小さな活字で何千店舗もの(星なしも含めて)膨大な情報を集約した本である。余計なコメントとか写真とかは一切なし。
それが今回の東京版は、写真とコメント満載であり、新たなスタイルである。悪くいえば従来からの普通のグルメガイドのようで、新味がない。日本のスイーツ(笑)層あたりに媚びている感がある。

一般に欧米のサービス製品をそのまま日本に導入して、一部のマニアは別として、一般社会(大衆社会ではないが)のレベルで成功した例は希である。何らかの形で日本社会に適合するように、業態や商品を変更している。
スターバックスにしても、中心地の一等地の広大な店舗という業態は、スタンド的なアメリカの都市内の店舗群や郊外店舗(店舗数は桁違いだが)とは異質であり、最初の海外進出であった日本での成功経験を欧州アジアに持ち込んだ。
ダンヒルは日本では女性の男性へのプレゼント用の小物の店であって、高価なスーツやコートは意外と売れていない(プレゼントにするには不倫関係では高すぎるし、熟年夫婦だと妻は自分のものを買ってしまう)。
「昼下がりの情事」からは戦後の欧米の大富豪の生活が揶揄的に描かれている。アメリカの大富豪で独身プレイボーイのフラナガン氏がアメリカから欧州へ大量の荷物を詰めて持ってきて、パリのホテルリッツの廊下に積んでいたルイヴィトンのハードの旅行鞄(というより堅固な函)は、店舗のディスプレイでは見るが、日本で実際に使っている人を見たことがない。
フラナガン氏は最後の場面でリッツをチェックアウトする時、大量のドル紙幣のチップを行列した従業員にばらまくのだが、荷物を運ぶのにタクシーを4台くらい使うのである。
日本人では想像しがたい大荷物の移動は、カエサルやタキトゥスが描いた狩猟民族の習性、中世の移動宮廷、王侯の旅行の伝統をふまえていると言えよう。(江戸時代の大名行列が日本史上では異常である)

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