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大学図書館の活用法 [教育]

図書館の有効活用法については、いくつかハウツー本が出ているが、以下の本を立ち読みしたら、意外と有益なことが出ている。ネット上の情報でカバーできないものがいかに多く存在しているかとの指摘、そういったものの調べ方の実例などは、参考になる。

図書館を使い倒す!―ネットではできない資料探しの「技」と「コツ」―
http://www.shinchosha.co.jp/book/610140/

だが最後に付随的にふれられている大学図書館の使い方だが、業界図書館に関する微細な叙述に比べると、一般開放している図書館がどこなのかなど、入り口の問題を述べるのに留まっている。おそらく著者自身、それほどは使いこなしてはいないのだろう。もう少し有名大学の部局図書館の個別論なども述べてほしいものである。

じっさいのところ、大都市の場合は大学OBでないと、大学図書館の利用のハードルが高いところも多い(なお著者の出身大学は広島大学)
けっきょく有名大学を卒業することの便益は、ネームバリュー、大学生活の充実度(の可能性)に次いで、都道府県立の図書館なんて足元にも及ばない充実した図書館を卒業後も大手を振って利用できるということにあると思う。最近は大学発行のクレジットカードに入ると、学生のみならず保護者、家族全員が大学図書館を利用できるケースなどもあり、家族の誰かが入学するだけでもメリットが多い。
さて、ある院生の先輩から、「大学院の学費の9割は、大学図書館の利用料だ。」という説を聞いたことがあるが、そのとおりだろう。文系の大学生の学費なんて、卒業後の図書館の終身利用権の先払いだと思わないと、高騰した今では納得していけないだろう
(多くの国立大学では文系学部は黒字で、余りを理系学部に補助している構図となっている。とはいえ、さすがに大陸ヨーロッパ並の大学学費の激安ぶりでは、高等遊民を生み出す弊害よりも、設備の劣悪さをもたらしている弊害の方が多かろう。この点、民青の国立大学学費が高騰したことへの批判の論拠は間違っている)。
卒業後に大学図書館を利用することを考えると、郊外の不便な立地のキャンパスの大学を卒業するのは不利である。よく学生がアルバイトや企業のインターンシップに行きにくいなんていう非難は、郊外キャンパスの大学に対して向けられる。が、それはJリーガーなどが述べる「早生まれは人生で損」というのと同レベル(年金計算の有利さとか、飛行機のスカイメイトを使える期間の長さなど、早生まれにもメリットは多い。身体能力では差はあるのかもしれないが、日常生活では関係ない。学力に至っては有意な差はない)の近視眼的主張である。巷間で批判されるレジャーランド大学(表現が古くて申し訳ない)にも、人生のモラトリアムとしてそれなりの意味はある(実は大卒と高卒の根本的な差異は学力ではない)し、土田舎のキャンパスではレジャーランドにもなりようはないだろう。
地方大学を卒業して都会で働いている人も不利である
(だいたい、地方の大学を卒業して、地元で就職しないという人生の選択肢は間違っていると思う。当該地域の大学のネームバリューは地元でこそ最大になるのである。就職してから大学時代に出来なかった都会生活を実現したいという願望の反映としか思えない)。

大学図書館の蔵書にも盲点はあり、大衆文学や随筆、サブカルチャー系の本、雑誌などは弱いが、それ以外の分野では都立中央図書館や国立国会図書館クラスでないと太刀打ちできないことが多い。大学図書館には、官庁系の雑誌、統計、報告書、社史なども驚くほど揃っているものである。学術関係の洋雑誌などは公立図書館に対して圧勝である。外国新聞も、たいていは1週間以内に読めるようになっている。
意外と公立図書館は週刊誌などを永久保存していない所が多い。市町村立の図書館では、週刊誌は全て最初から保存を放棄する明確な統一方針が採られているのが一般的である。なぜ「週刊誌を保存しないのか?」と司書に尋ねると、異口同音に「書架のスペースには限界があるので、嵩張る週刊誌などは保存しない」という回答がどこの図書館でも返される。
これに対して、たとえば灯台の情報学環(旧 新聞研究所、社会情報研究所)は週刊文春、週刊現代などを創刊からほとんど所蔵しているし、朝日ジャーナル(大学図書館では月刊誌並に扱われている)は早稲田の中央図書館や駒場図書館などでも所蔵している。
国立国会図書館の混雑はひどいものだが、その原因の殆どは他の図書館にもある本を「急がば回れ」と請求に来る利用者にある。つてのある大学図書館や、充実した公立図書館を有益に利用するのが賢明だし、そういう行動を多くの利用者が取ることによって、国会図書館の混雑を緩和し、本当に国会図書館にしか所蔵がない本をやむをえず請求に来る人の利益にもなるものである。

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