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変人鳩山邦夫と東大出身の政治家 [政治]

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A9%E5%B1%B1%E9%82%A6%E5%A4%AB

ここ15年ほど前から、鳩山兄弟で弟の方はどうも理解できなかった。
兄の由紀夫の方なら思考まで理解できるのだが、弟の方は無理だった。
アルカイダ発言、死刑自動化発言などである。
(UFO発言は、石破発言の方がずっと意味深長だ)
無能だとかお坊ちゃんだとかいうレッテル張りができないのである。今度、以下の本を徒然に読んで、何とか理解できた気がした。
基本的に大下の本は政界の提灯本で、当人たちに悪いことは書いていないのだが、物事を考える際の素材にはなる。 他の本には書いていない情報も多い。
大下英治『小説東大法学部』上下・角川文庫・1989

厳密に言うと、最後の章の大蔵省を除いて、政界の頭狂大阿呆学部出身者しか載っていないのだが、鳩山邦夫こそ頭狂大学の名にふさわしい。
各章で別人を取り上げた列伝形式になっていて著名人物がリストアップされているが、上巻の前半は戦前派で、政界本では普通の内容である。森山真弓を取り上げた所が新味であろうか。

後藤田正晴 中曽根康弘 宮沢喜一 山下元利 安部晋太郎 松本善明 森山真弓
下巻が面白い。一人当りのネタも多く、ページ数は多い。何より現在も活動している人物である。江田五月は参議院議長だし、横路孝弘は衆議院副議長だし、民主党政権では棚上げで議長に昇格する可能性が高い。

加藤紘一 江田五月 横路孝弘 鳩山邦夫 (発行当時の大蔵省人脈)

本当は江田や横路の同級生で全学連の幹部で、江田五月と並んで丸山真男の門下であった大蔵省の中島義雄が載っていると完璧だったのだが、けっきょく失脚してしまったので、載せなかったのは賢明か。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A9%E5%B1%B1%E9%82%A6%E5%A4%AB
明らかに執筆者の同情と共感が伝わってくる内容だが、今は船井電機の副社長であることまでは知らなかった。
今同じ題名の本を書くなら同じ題名で中山恭子や片山さつき辺りが載るかもしれない。

一言で言うと、鳩山邦夫は思考パターンが常人離れしているのである。下巻の人物は現在は野党か、自民党でも微妙な立場にある人々ばかりであるが、鳩山邦夫だけは現職の大臣である。福田内閣に続いて、麻生内閣でも閣内にとどまっている。自民党復党後の冷遇ぶりが嘘のようである。
兄の方が旧民主党結成期に「変人」と言われたが、弟の方がよっぽど変人なのである。

本書からネタを少しだけ挙げる。
・祖父の一郎、父の威一郎、当人と続いて東大法学部で首席。
・それなのに、司法試験も国一も無視して、政治家になることだけを考えて、田中角栄の秘書に。
・小学生のころから家庭教師と総選挙の当落を選挙区事情まで考慮して賭ける。といっても、この本では加藤紘一は小学生の時に父親(鶴岡市長も務めた)の衆議院議員選挙を手伝っている事実が書かれているので、それほど特別ではない。
・文Ⅰから法学部への進振で首席であることが確定した時点で、3年でも法学部の授業に出るのは止めて、昆虫採集などに熱中する。それでも26科目中23科目で優(首席だったかは保証されていない。が、これがどれだけ凄いことかは、関係者なら分かる。大下も大して凄いことだとは書いていないけど。少なくとも学部卒で助手採用は確定。そのまま25歳で助教授になるコース)を取って卒業する。
などなど

ここに出ている人物でも、加藤紘一は学生運動に挫折してから3年生で水泳部に入って、最後まで三軍に終わって苦にもしなかったり、江田五月が学生運動で二度目に逮捕された時、社会党書記長の父親から
「革命を目指して頑張れ」
と真面目に言われたり、いったん退学してから欧州を半年以上放浪してから復学し、以後どれだけ秀才であったかなど、滅茶苦茶なネタがたくさんあるのだが、鳩山邦夫はレベルが違う。
これだけ変人だと、普通なら人に相手にされないレベルなのだが、名門の出身で東大法学部卒業だけじゃなくて首席だから、誰も文句を言えないのである。おまけに官界にも入らず、田中角栄の秘書からキャリアが始まる。
何より注意しなくてはならないのは議員経験の長さである。1976年に新自由クラブから初当選(中川秀直も同じ経歴だ)したのである。政治家の序列は年齢とは関係なく、当選回数だけで決まるが、初当選の年齢がずば抜けて若い。1990年にはすでに文部大臣になっているのに、まだ60歳だとは思っていなかった。これに比べると、政界入りが五〇代だった福田康夫は論に及ばず、谷垣禎一も麻生太郎も意外と年寄りである。
津島雄二(太宰治の女婿)は次回の引退がほぼ決まっているので、外様ながら鳩山が次回の平成研究会の会長になる可能性は高い。最近は次期総理の世論調査でリストにも挙がっていないが、乱世ではこれから総理にならないとも限らない。少なくとも民主党と人気が伯仲する状況では、無茶な想像ではない。
(鳩山の問題発言には余裕を感じさせるが、麻生の問題発言には森喜朗と同じ香りがする。マスコミを敵に回しだしたらやばい。ヲタ・ネット右翼の支持はそれほど広汎なものではないし、経済団体などの支持は今の麻生支持というより、青年会議所会頭時代からの腐れ縁である)

ちなみに父親の鳩山威一郎は大蔵省の事務次官まで務めてから全国区で参議院議員になったので、初当選は1974年と遅い。それでも昔は事務次官や首長経験者を、自民党はまともに待遇したので、直ぐに外務大臣になっている。

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