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北朝鮮が人工衛星を撃っても、それがどうした? [海外事情]

どうやら明日、北朝鮮のテポドンが発射されそうな気配である。
日本政府や世間では大騒ぎをしているが、拉致問題と一緒で、アメリカ韓国からもまともに相手にされていない。従来の安保理決議に違反するだろうという点で了解が取れつつあるだけである。もし発射されると、安保理の緊急理事会が開かれるようだが、中国やロシアに遠慮して名指しで非難する決議も困難な情勢である。
(煩瑣なのでソースは引用しない)
アメリカ政府もアラスカにでもミサイルが落ちない限り、直接的な反応はしないようだ。

そもそも北朝鮮が主張するように、人工衛星であることは事実だろう。しょせん打ち上げる機構はミサイルと同じである。昨日のNHK総合のニュース解説でもその点は強調していた。だが、「だから危険だ、危険だ」と強調するのはやり過ぎではないか?小型の核弾頭の開発に成功したという見方もある。だが、今回のロケットに積まれているわけでもない。
北朝鮮だから恐ろしいといって、むやみに国民の恐怖心を煽るのが賢明なやり方であるとは思わない。そもそも(あれだけ窮乏した国が国力を傾斜注入するのが合理的かどうかは措いて)北朝鮮だから人工衛星を打ち上げてはいけないという国際規則はない。あくまでミサイル技術に転用が可能な打ち上げをやることがプラグマティックに北東アジアの安定に悪影響を与えるだろうという国際政治の実際的な運用の問題として、北朝鮮のやり方を批判することができるだけである。人権問題などとは性格の違う話である。

こういう時に思うのは、
「日本のやることは原子力も含めて平和利用だから、全て正しい。世界の信頼を集めている」
と勝手に思いこんでいるのに通じていると思う。日本のマスコミの報道だけを見ていると、IAEA国際原子力機関は北朝鮮やイランの核開発だけを厳しく監視するための機関のように思える。
実は原子力発電の大国でありながら核兵器を持たない日本の民間の原子力発電所に対して軍事転用や事故の危険がないか、専門家が日本原発地帯に常駐する厳しい体制で監視していることはあまり知られていない。発電で生み出されるプルトニウムは核兵器に容易に転用が可能である。

だいたい日本は過去に、イスラエルや南アフリカの核武装への動きに対して、厳しい批判の声を挙げただろうか?そもそもこの二国が核武装をしようとしたということ自体、普通の日本人は知っているだろうか?
そうでいて北朝鮮から離れている欧米諸国に北朝鮮の核開発への厳しい制裁への協調を求めることができるだろうか?日本にとってイスラエルがどうしようと直接的に関係ないのと同様に(中東の安定が害されて、石油価格が上がって困るという間接的な問題はあるが)、欧州諸国にとっては北朝鮮のことなどはどうでもいい。そうでなければ多くの西欧諸国が北朝鮮と正規の国交を持ったりはしないだろう。

だいたい北朝鮮もそれほど馬鹿ではない。
金正日(もし死んでいて、影武者でもいい)と側近からなる政府中枢は、残酷卑劣ではあっても。馬鹿だったら、これだけの困難な国内外の情勢を乗り越えられず、とっくに国が滅びているだろう。金日成が死んだとき、諸外国の最大の心配はそれであった。金正日はもしかして馬鹿ではないかと。
もしテポドンの先端に核弾頭が積まれていたり、日本の陸上や領海にロケットが落ちれば、どういう困難な事態になるかは北朝鮮は分かっている。まともな空軍もない国だから、一瞬のうちに米軍と日本の自衛隊(韓国は手を出さないという説もあるが)によって制空権を取られ、国土は壊滅するだろう。たとえ何発か核弾頭を持っていても、それまでである。
従来の見方では、「それでも北朝鮮は陸路でソウルまで侵攻して、ソウル市民を人質に取るだろう」
というカードがあった。だが、北朝鮮と韓国の圧倒的な平常軍備の差は今やそんな事を不可能としたようである。
以下の田母神氏の発言は興味深い。これだけの極右の自衛官でも、リアリズムは持っているようだ。

県議会防衛議員連盟(深井明会長)の研修会が二日、県議会議事堂であり、田母神俊雄前航空幕僚長が講演した。 歴史認識に関する政府見解を否定する論文を発表して昨年十月に更迭された田母神氏は「私はいい国にしようと 信念を持ってやってきた。『日本の国はいい国だ』という言論の自由はない」などと持論を展開した。 田母神氏は「日本以外の国は政治経済は独自だが軍事はグローバルスタンダード。日本は逆」と、 現在の防衛行政を批判。さらに「専守防衛では駄目。相手は一発で倒せる状況でしか来ないから、 抑止力にならない。戦後の歴史観を破らないとグローバルスタンダードになれない」と主張した。 また「核兵器は一発でもあれば十分抑止力が働く」と核武装論も展開。 北朝鮮の長距離ミサイル問題には 「北朝鮮は絶対に被害が出ないようにしか撃たない。(ミサイルに)当たる確率は交通事故の百分の一で 当たったら運が悪い。心配してもしょうがない。私は電車に乗る」と述べた。 (萩原誠)

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20090403/CK2009040302000109.html

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