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日本政治の政策決定とマスコミの政治報道の謎 [政治]

以前の日経のコラムに、妙に自民党びいきの記述があった。いわく、参議院の野党優勢によって、政策協議が必要になり、政策決定の過程が不透明になるのがけしからんというのである。

よく考えれば全く逆の話である。一昨年暮れのの大連立騒動のように密室で党首会談をやって、あうんの呼吸で与野党合意をやれば、かつての国対政治のように不透明極まりないことになろう。しかしながら民主党は公明正大(いちおう)に国会で議論しようと言っている。どうしてこれで政策決定が不透明になるのか、意味不明である。

忘れられている自社さ連立政権時代の美点の一つに、政策決定の過程が極めて明らかであったことがある。連立与党の政策協議は全て公開されており、当時の新聞記事には
「連立与党の政策合意により」
という文言が多く見られた。かつての自民党単独政権時代、現在までの森政権以降の自公政権時代の新聞のトップ記事には
「政府与党は××の法案を国会に提出し、○○からの実施を図る方針を固めた」
という記事が実は極めて多い。昔の自民党単独政権の時代に戻ったような感じである。
一見その通りの事実かと思うが、つきつめて考えると政界の業界人以外には意味不明な文章である。それは多くは以下のどれでもないからである。
・法案が国会で可決された
・閣議で法案の提出が決まった
・自民党の総務会を通過した。
・自民党の部会で意見がまとまった。
これを一般の言葉に翻訳すると
「中央省庁の担当課長など、役所の根回し、レクチャーが功を奏して、法案に難色を示していた大物族議員が柔軟な姿勢に転じ、党内で法案を制定するムードが高まりつつある。」
これこそ不透明な政策決定以外の何者でもないのではないだろうか?

先日の漆間官房副長官の「政府高官の発言」騒動と同じである。マスコミの政治部の表現、常識がいかに一般社会と乖離しているかということを象徴している。かつて丸山真男は日本の新聞の政治記事を評して、
「政治プロセス、政策決定の意義などは殆ど経済部などに委ねられていて、政治部による政治面は政界面に過ぎない」
と鋭く述べたが、状況は大して変わっていないようだ。
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