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ヒースロー空港過密化で曾ての羽田空港の道へ [空港]

年間利用客数9000万人を目指して、昨年の三月に第五ターミナルがオープンさせたロンドンヒースロー空港だが、どうやら相当処理能力が限界に近づきつつあるようである。
何しろオープンパラレルの平行滑走路が2本という現状の羽田空港並の設備なのに、発着頻度は羽田の倍近い過密運航である。利用客数が大して羽田空港と変わらないのに、発着回数が段違いに多いのは、特に欧州線が機材が小さい737やA320シリーズなどナローボディー機を使用しているからである。これがアメリカのダラスやデンバー、、デトロイト、アトランタのような巨大なハブ空港なら、いくら発着回数が増えても問題はないのだが、羽田同等の設備で無理をしているものだ。
利用客数の伸びは続くだろうが、全体の増便は困難で、大型機化が進むだろう。要するにかつての成田・羽田に近づきつつあるということだ。 もう1本の滑走路を造る計画が始動したようだが、どれだけ早く実現することだろうか?

最近のOAG(エグゼクティブフライトガイドがポケットフライトガイドと改称されて、縦長の体裁に変更)を見てみると、数年前に比べても深刻な状況が読み取れる。アジア・中東方面からの乗り入れは増えているが、欧州内のBA便が煽りを食っている。欧州でも首都以外のイタリアカターニャ行きとかヴェネツィア行き、クロアチアのドブルブニク行きなどのリゾート路線、東欧路線はガトウィック空港発着だったが、アムステルダム、マドリッド行きなどもガトウィック発着に移されつつある。それだけヒースローに売り上げの多い長距離便を押し込みたいのだろう。
なまじ欧州とアメリカのフリースカイ協定のおかげで、従来はガトウィックを使うことを二国間協定(先述)のおかげで余儀なくされていたDLやCO、NW、USエアなどもヒースローのスロットを確保してヒースローに発着するようになったから、ますます過密化は進んでしまう。
欧州や中東行きでもにわかに大型化が進んでいる。カイロ行きが744だなんて、かつてのJAL並だし、ドイツのデュッセルドルフやトルコのイスタンブール、アテネ行きにも767が投入されている。欧州の航空会社は中東までも737クラスでカバーするのが最近の風潮だったのに。LHも国内幹線用だったA300ー600をヒースロー線に投入している。スロットに比して輸送力不足なのだろう。日本の空港が大型機ばかりなのが奇異だと言われてきたが、ロンドンもそれに近づいてきた。
しかもBAの767は日本国内線並の詰込み機材である。
http://www.frequentflyer.oag.com/airlines_airports/seatchart.asp?image=../images_air/BA%2D767%2DEUROPEAN%2Egif&desc=Boeing+;767+%28european%29&airline=British+Airways
252人乗りで、前方はビジネスクラスとしても使われるのでややシートピッチは広いが、スカイマークの旧レキオス航空機並の設備である。
BAのサイトやseatguruにも出ていないが、隠したい座席配置の機材なのだろう。 昔のJALのボロッチャの座席配置みたいなものである。

そもそもBAはKLMやAFに比べると、欧州大陸の中小都市への路線は弱い。BAの場合は飛んでいても1日1往復という路線も多く、日本線と接続していないことが多い。直通の運賃設定があってもロンドンで前後泊を余儀なくされることになる。
イージージェット、ライアンエアなどの格安航空会社がロンドン近郊のスタンテッドやルートン空港から、スペインならサラゴサとかアルメリアとかサンタンデル、ビルバオ、サラゴサなどの(地図を見ずに場所が分かるのは地理マニアです)行きといった、ニッチの地方都市行きの便を運航しているから、BAは正面から格安航空と勝負に出ていないのである。発着能力に余裕のあるパリCDG空港やアムステルダム スキポール空港からは少人数のコミューター機が飛んでいるが、ヒースローにそんなものを飛ばす余裕はないのだ。イギリス国内線も煽りを食っており、BAがヒースローからまともに飛ばしているのは、マンチャスター(これは近すぎるが)、エジンバラ、グラスゴー、スコットランド北部の都市くらいのものだ。その他の中小都市に日本から行くには、KLMを使ってアムステルダムあたりで乗り継いだ方が便利なくらいである。

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